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第二TOKYO-revive-(第一章)P2君の名は・・・ [小説Ⅱ]

第二TOKYO-revive-
   第一章 君の名は・・・

「緑がかった金髪の男が天野斗織(アマノトシキ)、トウキョウ区ゲーム選手権三年連続優勝。

アトライズ株式会社のゲームテスターでありながら、

トイビート株式会社でゲームプロジェクターも務める凄腕ゲーマー。

栗色の髪の男が松田秋生(マツダアキオ)大会等では目立った功績は無し。

しかしGSTRでは、一年前に解散したアシュ・グレイの幹部をつとめ、

最近になってアシュ・グレイのメンバーを召集し、改アシュ・グレイの再建につくしている・・・」

ライフルを標的に向けたまま、一人の少女が仲間らしき男にむかって一方的に話し続けている。

彼女の淡々とした口調から、ロボットやコンピュータのような雰囲気を感じずにはいられない。

整った顔立ちと、漆黒のおかっぱ頭から、おそらく誰もが日本人形を連想してしまうだろう。

鈍く光るライフルと、黒く底光りする髪が、彼女の魅力を一層引き立てている。

しばらく続いた沈黙を壊すように、もう一人の男が言葉を発した。

「あいつをGSTRに引き込むのは、可能だと思うか、巴。」

巴と呼ばれた少女が、一瞬表情を曇らせ、不安そうに男の方を見やる。

「珍しく弱気ですね、ボス。」

さっきまでの自信に満ち溢れた表情から一転し、巴の顔は凍り付いていた。

自分が信じる絶対的な人物が、今、自分のスコープの中にいる少年を恐れているように見えるのだ。

動揺と共に、深い嫌悪感に襲われる。

「見失うぞ、巴。」

低く呟かれた言葉には少しだけ力がこもっていて、巴は小さな恐怖さえ覚えたほどだった。

スコープに目を戻すと、ついさっきまでスコープでとらえていた標的が消えていた。

慌てて周りを探すが、それらしい人影一つ見つからない。

「くっ・・・、すいません、見失いました。」

巴の言葉に追い討ちをかけるかのように、秋生が荒い息を整えながら答えた。

「見失っちゃあいないぜ、お嬢さん。」

声と同時に、巴の頭に冷たいものがあてられる。巴は一瞬で身を硬くした。

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